NIPT等の出生前検査に関する専門委員会の議論について思う事

NIPT等の出生前検査に関する専門委員会の議論について思う事-min NIPTについて

    

この記事では、厚生労働省が開催している「NIPT等の出生前検査に関する専門委員会」について解説しています。

   

出生前診断の一種であるNIPTは、胎児へのリスクが無いこと、検査精度が非常に高いことから、近年需要が高まっています。

その一方で現状NIPTは、一部の人しか受けられない仕組みになっています。

つまり、受けたいのにNIPTを受けられない人が多いのが現状です。

    

このような状況を踏まえて、2020年から厚生労働省が「NIPT等の出生前検査に関する専門委員会」を主催しています。

    

今回は、無認可施設でNIPTを2回受けた経験がある著者が「専門委員会」の議論内容について思うことを解説します。

    

・今後のNIPT検査はどうなるの?

・NIPTの課題を知りたい

    

こんな疑問に答えます。

   

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NIPT等の出生前検査に関する専門委員会の議論について思う事

   

著者が専門委員会の会議では、以下2つの内容が主に議論されています。

   

・出生前検査に関する妊婦等への情報提供の在り方について

・NIPTの実施施設の認定等の仕組みの在り方について

     

この議論の内容の詳細と、著者が思うところを解説していきます。

   

出生前検査に関する妊婦等への情報提供の在り方

現在NIPT検査の情報は、妊婦さんに積極的に開示されない仕組みになっています。

産婦人科の先生が「NIPT」の事を話さないのは、説明しない仕組みになっているからなんです。

    

「現在、我が国においては、専門的なカウンセリングの体制が十分でないことを踏まえると、医師が妊婦に対して、本検査の情報を積極的に知らせる必要はない。また、医師は本検査を勧めるべきではなく、企業等が本検査を勧める文書などを作成・配布することは望ましくない。」

【出典】厚生労働省 出生前検査の適切な在り方や実施体制等に関する論点

    

NIPTの事を説明しないのは、専門的なカウンセリング体制が整っていないからと書かれています。

現状は、NIPTの事は「認定の遺伝カウンセラー」が説明する事になっています。

   

認定遺伝カウンセラー®は遺伝医療を必要としている患者や家族に適切な遺伝情報や社会の支援体勢等を含むさまざまな情報提供を行い、心理的、社会的サポ-トを通して当事者の自律的な意思決定を支援する保健医療・専門職である。

【出典】認定遺伝カウンセラー®とは

    

ですが、認定遺伝カウンセラーは2020年4月時点で、たった「267名」しかいないレア職種です。

  

認定遺伝カウンセラー名簿 (2020年4月現在 267名)
【出典】認定遺伝カウンセラー名簿 (2020年4月現在 267名)

    

認定遺伝カウンセラーが少なく、全国の妊婦さんに情報提供できる体制が整っていない事になっています。

   

【私見】認定遺伝カウンセラーは不要、産婦人科の先生で十分

情報提供体制が整っていないとありますが、ぶっちゃけ認定遺伝カウンセラーはいりません。

そもそもNIPT検査を受けるために必要な知識は、そもそもそんなに多くありません。

   

NIPT検査に必要な最低限の知識とは?

・NIPTは非確定診断である(100%の結果を保証するものではない)

・陽性時は、羊水検査などの確定診断が必要

・妊娠15週目までに受けることが推奨されている

    

たったこれだけです。

これだけなら、産婦人科の先生が話をするだけで十分です。

  

もちろん、陽性になった方の精神的なケアなど必要な事はあります。

ですが、必要な知識は少ないので、あえて認定遺伝カウンセラーをは設置する意味は無いです。

   

NIPTを受けたいけど、受けられない方は認可外クリニックがおすすめです。

最低限の知識を覚えれば、特に問題は無いです。

   

     

NIPTの実施施設の認定等の仕組みの在り方について

NIPT検査は、陽性になった時に「産む産まない」の選択が発生します。

倫理的な課題が大きいことから、現状は検査を35才以上などの限られた方・限られた病院で検査が受けられる仕組みになっています。

   

検査を実施する医師のみの対応では被検査者の倫理的、社会的、心理的問題の解決が容易でない場合があることから、「医師は日頃から先天性障害や遺伝性疾患に関する専門的な相談(カウンセリング)を実施できる機関との連携を図る必要性がある。」とされている。

【出典】厚生労働省 出生前検査の適切な在り方や実施体制等に関する論点

     

現状は、以下5つのどれかに該当する方「だけ」が検査を受けられます。

   

1.胎児超音波検査で、胎児が染色体数的異常を有する可能性が示唆された者。

2.母体血清マーカー検査で、胎児が染色体数的異常を有する可能性が示唆された者。

3.染色体数的異常を有する児を妊娠した既往のある者。

4.高年齢の妊婦。

5.両親のいずれかが均衡型ロバートソン転座を有していて、胎児が 13 トリソミーまたは21 トリソミーとなる可能性が示唆される者。

【出典】日本産婦人科学会 母体血を用いた出生前遺伝学的検査(NIPT)に関する指針

   

高年齢の妊婦は、今の所「35才以上」の方としている病院が大半です。

つまり、35才以上または染色体異常のリスクが高い方だけしか受けられません。

    

【私見】34才と35才の違いは?年齢制限がある理由

現状の仕組みでは、34才の方はNIPTを受ける事が出来ません。

(但し認可外施設であれば、誰でも受けられます)

   

でも35才の壁を設ける理由って良く分からないですよね。

34才の人が受けられ無いのは、意味のない差別の気がします。

   

倫理的な課題があるなら「35才以上も含めて」全員受けられないようにするべきです。

ですが、なぜか染色体異常のリスクが高い人だけ受けられるようになっています。

   

胎児へのリスクの捉え方は、人によって異なります。

日本産婦人科学会が謎の理論で区切るより、全員に受けられるようにすべきです。

    

全員受けられるようにして、陽性の方のサポートを手厚くする仕組みを考える方が自然です。

実際、欧米では、「妊婦さん全員が受けられる仕組み」になっている事が多いです。

(公費で無料で受けられる国も多いです)

    

希望する妊婦さん全員がNIPTを受けられる仕組みへ

これから生まれてくる子どもが健康なのか?を知りたいのは自然な感情です。

胎児の状態を知ることができる術があるのに、それを特定の組織の考えで意図的に制限するのはおかしいです。

    

実際、海外では妊婦さんの「知る権利」として、胎児の状態を知るべきだという考えが一般的です。

希望する妊婦さんは全員が平等に検査を受けられる仕組みにしてほしいと、感じています。

   

そして、そのハードルはそんなに高くないです。

産婦人科で採血をするだけです。そして陽性の方へのサポートを手厚くすれば問題ありません。

    

誰でもかかりつけの産婦人科で、NIPTが受けられる世の中になって欲しいと思います。

    

まとめ:NIPT等の出生前検査に関する専門委員会の議論

まとめです。

現在、委員会では、以下のことが議論されています。

   

・出生前検査に関する妊婦等への情報提供の在り方について

・NIPTの実施施設の認定等の仕組みの在り方について

   

現在は、色々な理由がありNIPTの門戸は開かれておりません。

しかし、将来は欧米と同じように「妊婦さん全員が平等に受けられる検査」になってほしいです。

   

この記事が、出生前診断の普及の一助になれれば嬉しいです。

    

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