出生前検査の種類

出生前診断比較,NIPT,母体血清マーカー,コンバインド

 

この記事では、出生前診断の種類について詳しく比較していきます。

出生前診断とは、妊娠中に胎児の状態を確認する検査のことで、検査方法にはいくつかの種類があります。

ここでは、いくつかある検査方法を様々な視点で比較していきます。

 

・出生前診断で何が分かるの?

・出生前検査の種類・特徴を知りたい

 

 上記の疑問を解決していきます。

 

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出生前診断で何が分かるのか?

 

出生前診断で分かることは以下の通りです。

 

・ダウン症候群(21トリソミー)

・エドワーズ症候群(18トリソミー)

・パトー症候群(13トリソミー)

 

出生前診断では、上記、胎児の染色体疾患について調べることが出来ます。

検査の種類によって、診断できる疾患の範囲も変わってきます。

 

ダウン症候群(21トリソミー)

いわゆるダウン症と呼ばれる染色体異常の一つです。

 

1866年 Downにより臨床症状が記述された。1959年Lejeuneらにより、ダウン症候群では染色体が47本であることが報告され、過剰染色体が21番染色体であることが明らかになった。特徴的な顔貌(眼瞼裂斜上・鼻根部平坦・内眼角贅皮・舌の突出)、手掌単一屈曲線、筋緊張低下を主徴とする。

https://www.shouman.jp/disease/details/13_01_014/

 

21トリソミーをもつ赤ちゃんは 600~700 人に1人生まれ、日本には 5~6 万人の方が生活されています。 21トリソミーをもつ赤ちゃんは、筋肉の緊張が弱く、発達がゆっくりで あることが特徴です。また、心疾患等を合併することもあります。しかし、早期から療育(医療的視点に基づく教育や養育の支援)をすることで、知的にも身体的にも能力が向上することが分かっています。

https://www.huhs.ac.jp/studygroup/kazoku/prenatal%20testing%20leaflet.pdf

 

エドワーズ症候群(18トリソミー)

同じ染色体異常ですが、ダウン症と違うところは多くの疾患を合併していることが多く、胎内で亡くなるケースが多いです。

 

18 番の染色体が 3 本あることに伴う症候群をいいます。18 トリソミーをもつ赤ちゃんは 4000~10000 人に 1 人生まれます。18 トリソミーをもつ赤ちゃんは多くの疾患を合併していることが多いため、胎内で亡くなることが多く、出生後も生命予後が不良であることが多いです。しかし、症状は 様々で近年は自宅療養できる方もいます。

https://www.huhs.ac.jp/studygroup/kazoku/prenatal%20testing%20leaflet.pdf

 

パトー症候群(13トリソミー)

パトー症候群(13トリソミー) は複数の疾患を合併することが多いと言われています。

 

13 番の染色体が 3 本あることに伴う症候群をいいます。13 トリソミーをもつ赤ちゃんは約 5000 人に 1 人生まれます。13 トリソミーをもつ赤ちゃん は多くの疾患を合併していることが多いため、出生後も生命予後が不良であることが多く、平均寿命は3~4ヶ月と言われています。

https://www.huhs.ac.jp/studygroup/kazoku/prenatal%20testing%20leaflet.pdf

 

出生前診断(NIPT、母体血清マーカー、コンバインド検査、他)比較

出生前診断

出生前診断にはいくつか種類がありますが、産婦人科では一部の診断しか紹介しないため、全体像を把握することが難しいです。

以下で出生前診断の種類とその特徴をご紹介致します。 

 

出生前診断、NIPT、母体血清マーカー、コンバイン比較

記載に当たっては、以下のホームページの情報を参照しています。

 

出生前診断には、確定検査と非確定検査の2つがあります。

確定診断は母体、胎児へのリスクがあることから、最初は非確定検査を行います。

ただ、非確定検査には色々な種類があり、それぞれ特徴があるため、最初はどの検査を選べばよいか迷ってしまいます。

各検査について一つずつ解説していきます。

 

非確定検査

非確定検査は確定検査の前段階で行われる検査です。

非確定検査で疾病の可能性が高い場合は、確定検査を行うことが多いです。

非確定検査の種類は以下の通りです。

 

・超音波検査

・母体血清マーカー検査(クワトロ検査)

・コンバインド検査

・NIPT

 

超音波検査

超音波検査は、産婦人科の定期検査で必ず行われる検査です。

お腹にジェルを塗り、機械を当て胎児の様子を確認するもので、テレビなどでも見たことがある方は多いのではないでしょうか。

母体・胎児へのリスクが無いことから、一般的な検査として定着しています。

 

超音波検査では、胎児の体の欠損確認に加えて、 NT(nuchal translucency) による染色体異常の可能性を調べます。

 

妊娠初期の胎児超音波検査、出生前診断で重要なものがNT(nuchal translucency)と呼ばれるものです。 日本語で「胎児後頸部浮腫(透明帯)」と呼ばれ、赤ちゃんの首の後ろに形成される薄く水分がたまった(浮腫)部分のことです。

この部分が厚くなっていることを「NTの肥厚」といいますが、1992年にNTの肥厚が高度であればあるほど、ダウン症の発生頻度が高くなるという研究結果が報告され世界中でスクリーニング検査の一つの方法として活用されるようになってきました。

http://san-kiso.com/sannka/syu-eko.html

 

超音波検査で、首の後ろの形状を見ることで診断するのですが、判断が難しく精度は低いと言われております。

 

NT肥厚は3.5ミリ未満では染色体異常の確率は0.5%(1/500)ほどですが、4ミリになると20%、5ミリだと30%、6ミリだと50%と確率が増加すると報告されています。
6ミリの肥厚でも見方を変えれば半分は健常児であるといえます。

http://san-kiso.com/sannka/syu-eko.html

 

このように精度が低いことが欠点であるため、次にご紹介する他の非確定検査で補う場合があります。

 

母体血清マーカー検査 (クワトロ検査)

母体血清マーカー検査は、母親の血液を採取することで胎児の染色体異常の確率を調べる検査です。

クワトロ検査とも呼ばれており、具体的な検査内容は以下の通りです。

 

クアトロテストは、「母体年齢固有の確率」に、胎児が対象疾患であった場合の母体血清中の4つのマーカーの増減から得られる「Likelihood Ratio」を乗じて算出します。それにより、クアトロテストは、母体年齢のみに依存しない妊婦さん一人ひとりの確率を算出します。この確率と基準となる確率(カットオフ値)を比較し、カットオフ値より高い場合はスクリーニング陽性、低い場合はスクリーニング陰性と報告されます。

http://www.labcorp.co.jp/general/quattro01.html

 

ちょっと分かりにくいですが、母親の年齢と血液の検査結果、この2つの要素を踏まえて胎児の疾患確率を算出します。

精度は約80%と超音波検査より高いですが、後述するNIPT等と比べると精度は低くなっています。

 

また 母体血清マーカー検査の結果は、「陽性・陰性」と共に「確率」で表されます。

そのため出てきた確率をどのように判断するかは、患者自身が判断しなければならないため、患者への負担が大きい場合もあります。

 

コンバインド検査

コンバインド検査は、超音波検査と母体血清マーカー検査を組み合わせた検査です。

コンバインド検査は、胎児ドッグとも呼ばれる場合があります。(クリニックによって名称が異なります)

 

NTと母体血清マーカーを組み合わせることで、精度が約83%となっており、母体血清マーカー単体よりも精度が高いと言われております。

 

NIPT

NIPTとは Noninvasive prenatal genetic testing の略で、母体の血液を検査することで胎児の染色体疾患を調べる検査です。

 

新型出生前診断(NIPT)は、妊婦さんの血液中に含まれる赤ちゃんのDNA断片を分析することで、赤ちゃんの特定の染色体疾患を調べることができる検査です。
NIPTのより正確な名称は、「無侵襲的出生前遺伝学的検査」または「母体血を用いた新しい出生前遺伝学的検査」ですが、母体血清マーカー等と比べて最近開発・導入されたため、国内では「新型出生前診断」とも呼ばれています。

https://www.genetech.co.jp/nipt/

 

NIPTの最大の特徴は、精度が約99%と非常に高いことです。

そのため非確定検査でありながら、ほぼ確定に近い結果を得ることが出来るメリットがあります。

 

一方でNIPTは他の検査と比べると費用が高いと言われております。

クリニックにもよりますが、20万円前後の費用がかかるため、家計への負担が大きいです。

 

確定検査

確定検査は、母体に針を刺し、羊水や絨毛を直接採取する検査です。

染色体異常などの疾病の確定診断ですが、針を刺す検査であることから、母体や胎児へのリスクが発生します。

 

羊水検査

羊水検査とは、母体のお腹に針を刺し、羊水を採取することで、胎児の染色体を確認します。

採取した羊水を培養することから、期間が2週~4週程度かかるといわれております。

また羊水検査では、染色体疾患全般を調べることができます。

 

羊水検査では、直接針を指すことから、約300人に1人の割合で流産や赤ちゃんが死亡する可能性があると言われております。

 

羊水検査は、超音波画像のガイドのもと、妊婦さんのお腹に針を刺して羊水を採取し、その中の赤ちゃん由来の細胞を培養して染色体の形と数の変化を確認する検査です。羊水検査では、染色体疾患全般を調べることができます。主に15~16週以降で行い、検体採取から結果報告まで2~3週間かかります。

水検査はお腹に針を刺して羊水を採取するため、破水・出血・子宮内感染・早産・羊水塞栓症・穿刺による母体障害(血管や腸管など)などの合併症が生じる可能性があります。
さらに、約300人に1人の割合で流産や赤ちゃんが死亡する可能性があります。

https://www.genetech.co.jp/type/

 

絨毛検査

絨毛検査は、将来胎盤となる部分の細胞を採取することで、胎児の染色体の状態を確認する検査です。

羊水検査と同じく、母体・胎児へのリスクがありますが、染色体疾病全般を調べることが出来ます。

 

絨毛(じゅうもう)は、将来胎盤となる部分です。絨毛検査は、超音波画像のガイドのもと、妊婦さんのお腹に針を刺して絨毛細胞を採取し、染色体の形と数の変化を確認する検査です。絨毛検査では、染色体疾患全般を調べることができます。主に11~14週で行い、検体採取から結果報告まで2~3週間かかります。

絨毛検査はお腹に針を刺して絨毛を採取するため、破水・出血・子宮内感染・早産・穿刺による母体障害(血管や腸管など)などの合併症が生じる可能性があります。
さらに、約100人に1人の割合で流産や赤ちゃんが死亡する可能性があります。

https://www.genetech.co.jp/type/

 

当サイトでNIPTをまとめている理由

 

当サイトでは、統一的な情報がまとめられていない出生前診断について、分かりやすくまとめた情報を提供したいと考えております。

出生前診断を考えている方の多くが、診断には色々な種類があって迷ってしまっていると思いますので、この記事を通じて一人での多くの方に有益な情報を提供したいと思います。

 

また当サイトではNIPTを中心に情報をまとめていますが、その理由は非確定診断にも関わらず精度が約99%と極めて高いことから、出生前診断を考える人たちの選択肢になると考えたからです。

また著者の家庭でもNIPTを実施しており、その実体験を踏まえた情報を提供していきます。

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