出生前診断診断であるNIPT検査は、非確定診断でありながら検査精度が99%と非常に高いのが特徴です。
そのため、最近ではNIPT検査の需要は非常に高くなってきています。
ただNIPT検査を認定施設で受けるには、年齢などの条件があります。
35歳未満の方は、認定施設では検査が受けられないので、無認可施設でNIPTを受ける必要があります。
イギリスでは全妊婦がNIPTを公費で受けられるのとは対照的です。
NIPTに関しては他の国と比べて遅れている日本ですが、今日は少しその流れが変わるかもしれないニュースをご紹介致します。
東京都世田谷区にある「国立成育医療研究センター」は、NIPT認可施設です。
従来はNIPT検査の指針に従って、検査を受けるには「分娩時35歳以上」などの条件がありました。
しかし2019年10月に、国立成育医療研究センター でのNIPTの検査受診要件が変わりました。
今回は、国立成育医療研究センター でのNIPTの検査受診要件変更について詳しくまとめていきます。
認可施設でのNIPT受診要件が緩和?【国立成育医療研究センター】
国立成育医療研究センターのNIPT受診要件緩和についての結論です。
・認可施設である国立成育医療研究センターがNIPTの受診要件を緩和
・35才未満の方でもNIPTが受けられるようになった
・但し病院からの紹介が必要であり無認可と同じ簡易さでは無い
・今後、他の認可施設でこの流れが続くかは不明
大きい一歩だと思います。
「高齢出産」について、以前は産婦人科学会の指針に書かれていた35才が目安になっておりました。
そのため、認可施設では35才以上で無ければNIPTを受けることが出来ませんでした。
それが認可施設である国立成育医療研究センターで、35才以上という条件が撤廃されました。
詳細について詳しく解説していきます。
国立成育医療研究センターについて
国立成育医療研究センターは、東京都世田谷区にあります。
小田急線の成城学園前駅が最寄り駅となります。
国立成育医療研究センターは、小児・周産期・産科・母性医療を専門とする唯一の国立高度専門医療センターです。
小児の専門病院としては非常に有名なようです。
当病院は、名実と共に、日本の小児・周産期医療のトップとなりました。アジアの代表的小児病院としての地位も確立しつつあります。
https://www.ncchd.go.jp/hospital/about/aisatsu.html
NIPT受診要件緩和のポイント
認可施設である国立成育医療研究センターのNIPT受診要件緩和のポイントは、以下の3つです。
・年齢制限の撤廃
・妊婦一人での受診が可能となった
・臨床研究から診療扱いへ変更
一つずつ見ていきます。
年齢制限の撤廃
従来、認可施設では「分娩時に35才以上」であることがNIPT受診の要件でした。
今回その年齢制限が撤廃されました。
今後は国立成育医療研究センターでは、35才未満の方でもNIPTを受けることが出来るようになりました。
NIPTの対象となる妊婦さんの条件の1つに「高年齢の妊婦さん」が含まれており、今までは出産予定日の年齢が35歳以上である方を対象としておりました。しかし、ご出産時の年齢における染色体疾患の出生確率のとらえ方は個人によって異なりますので、一定の年齢条件を設けずに対応することにいたしました。
https://www.ncchd.go.jp/hospital/about/aisatsu.html
高齢出産になるとダウン症などの染色体異常の確率は相対的に高くなります。
しかし35才という年齢で区切る根拠は乏しいです。
(何故、34才では受けることが出来ないのか、その明確な理由がありません)
なので、今回の年齢制限を撤廃するのは、実態に即した良識ある判断だと個人的には思います。
妊婦一人で受診可能
従来は、夫婦2人で遺伝子カウンセリングを受けることがNIPT受診要件となっていました。
母体血を用いた新しい出生前遺伝学的検査を行う前に医師が妊婦およびその配偶者(事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む)、および場合によっては他の家族に説明し、理解を得るべきこと。
http://www.jsog.or.jp/news/pdf/guidelineForNIPT_20130309.pdf
そのため、認可施設でNIPTを受ける場合は、必ず夫婦二人で事前カウンセリングを受ける必要があります。
夫が働いている場合などは、なかなかカウンセリングを受けられないのが課題でした。
今回、国立成育医療研究センターは、夫婦2人での受診を推奨しつつも、妊婦1人での受診も可能に変更しました。
夫が仕事で、平日受診出来ないなど、現実問題として2人での受診は難しい夫婦も多いはずです。
本見直しも忙しい家庭に配慮した判断だと個人的には思いました。
臨床研究から診療扱いへ変更
NIPTは、命の選別につながる可能性があることから、日本では出生前診断の普及に一定の歯止めが掛けられています。
現在、日本産婦人科学会は、NIPTは倫理上の課題があるとしつつ、臨床研究として一定の受診条件(年齢など)を設けています。
今回、国立成育医療研究センターは、NIPTを臨床研究から診療扱いへと変えました。
先ほどの年齢制限撤廃など、広くNIPTを求める患者へ門戸を開いたことを反映したものと思われます。
そこで気になるのが、国立成育医療研究センターは認可施設扱いが続くのでしょうか?
配偶者への説明義務など、日本産婦人科学会の指針に合致しているのか微妙なところです。
解釈上は、同意書を取っていれば大丈夫なような気もしますが、それをOKにすると今の無認可施設も認可する必要が出てきそうです。
NIPTコンソーシアムでは2020年2月3日時点では、国立成育医療研究センターは認可施設として記載があります。
日本の小児・周産期医療のトップである国立成育医療研究センターが無認可になるとは考えにくいので、方針変更後も認可施設のままだと思います。
今後、他の認可施設でこの流れが続くのか?
今回のNIPT受診要件緩和は他の認可施設でも続くのでしょうか。
現在の35才以上のみに門戸を開いたNIPTは正しい姿だとは個人的には思えません。
胎児・母体にリスクが無く精度が高い出生前診断ができるNIPTの検査需要が増えるのは自然の流れです。
イギリスやアメリカの一部の州では、全妊婦が受けられる検査と一般的になっております。
将来的には、日本もNIPTが一般的な検査になるものと思います。
しかし、直近では2019年6月に日本産婦人科学会が、NIPT検査要件緩和を見送ったこともあり、当面の間は、今の状況が続くものと思われます。
但し検査を受けるためには、病院の紹介が必要
年齢制限の撤廃により、誰でも国立成育医療研究センターでNIPT検査を受けられるのでしょうか。
残念ながら国立成育医療研究センターでNIPTを受けるには以下の条件があります。
既に産婦人科医の診察を受け、超音波検査により胎児の心拍が確認され出産予定日が決定されていること。
https://www.ncchd.go.jp/hospital/pregnancy/saniden/nipt.html
現在、当センターまたは当センターと医療連携可能な分娩施設(妊娠・分娩管理の連絡や連携ができる)に通院していること。
また、外来で検査を受けるためには病院の紹介が必要となっています。
当外来の受診をご希望の方は、周産期遺伝外来のご予約について(医療機関の方へ)をダウンロードして、かかりつけの医療機関へご相談ください。当外来のご予約は医療機関からのご連絡のみの対応となっており、妊婦さんご本人・ご家族様からのご対応を致しかねます。
https://www.ncchd.go.jp/hospital/pregnancy/saniden/saniden.html#yoyaku
つまり私たちが直接、国立成育医療研究センターへ電話して予約することは出来ません。
今通っている産婦人科に相談して、紹介してもらえるかを確認する必要があります。
まとめ
国立成育医療研究センターのNIPT受診要件緩和についてのまとめです。
・認可施設である国立成育医療研究センターがNIPTの受診要件を緩和
・35才未満の方でもNIPTが受けられるようになった
・但し病院からの紹介が必要であり無認可と同じ簡易さでは無い
・今後、他の認可施設でこの流れが続くかは不明
35才未満の方でも認可施設で受けられるようになったのは、私たちにとって、とてもうれしい情報です。
しかし、国立成育医療研究センターでNIPTを受けるためには、同院で分娩予約をするか、かかりつけの病院経由での予約が必要となります。
かかりつけの産婦人科経由で予約できるかは、個別に確認する必要があります。
また東京でしか受診出来ないので、東京以外に住んでいる方は受診しずらい環境にあることは変わりがありません。
これからNIPTを受けたい人は、国立成育医療研究センターなら検査を受けられる可能性があるのは頭に入れておいた方が良さそうです。
ただ、条件が合わない方にとっては、引き続き無認可施設しか選択肢がありません。
皆さんのお住まいの地域など、受診環境に合わせて認可・無認可を選ぶのが良いと思います。
■全国のクリニックと提携しているNIPT平石クリニック
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